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1巻完結オススメ漫画・短編集を紹介

1巻完結オススメ漫画・短編集を紹介

このページでは、当サイト「YOMUDAKE / ヨムダケマンガ」が選ぶ、1巻で完結するおすすめ漫画(単行本)を紹介します。1巻で完結するため、ショートフィルムのような面白さを感じられる作品もあれば、短編集として作品になっているものもあります。

短編

目次

センチメンタル無反応

センチメンタル無反応
著者真造圭伍
巻数短編集
出版社小学館

あらすじ

「ひらやすみ」で有名な真造圭伍先生の短編集。全8話で構成。中2の学際前日、俺は家出をした。-「ディパーチャー」|ウチ、結構やばいよ?清水さんは、初めて彼氏をゴミ屋敷の実家に招く-「清水家のすべて」|なじみの店が欲しくて・・・。-「いつでもフラッと飲める友達がほしいよ」

ネタバレなしレビュー

漫画「ひらやすみ」で有名な真造圭伍先生の短編集。とにかく全ての短編集を通して「人間っぽさ」みたいなものを感じ取れる。この人間っぽさとは何なのか?「ひらやすみ」でもそうだが、真造先生特有の空気感みたいなものがある。言語化することが難しいが、春のぽかぽかとした暖かさみたいな感じだろうか。無駄に装飾せず、ありのままの生きた感じが伝わってくる。好きな人にとってはたまらない作品。

ひきだしにテラリウム

ひきだしにテラリウム
著者九井諒子
巻数短編集
出版社イースト・プレス

あらすじ

九井諒子先生の短編集。タラバガニってカニじゃないらしいぜ – 「TARABAGANI」/ 魔物から国を守るために我々は街に被害を与えている? – 「ユイカ!ユイユイカ」/ あそこに見えるのは凄いお金持ちの家です。広すぎるのでバスや電車で移動します – 「すごいお金持ち」など全部で33作品収録。

ネタバレなしレビュー

本のタイトル「テラリウム」が示すように、各作品には独自の世界観がしっかりと築かれている。それどころか、「九井諒子先生の頭の中は一体どうなっているのだろう」と思わずにはいられないほど、読者をワクワクさせる切り口が多い。面白い発想を持つ人の思考をのぞいてみたい。そんな願いを叶えてくれるのが、この短編集である。

素晴らしい世界 新装完全版

素晴らしい世界 新装完全版
著者浅野いにお
巻数短編集
出版社小学館

あらすじ

「素晴らしい世界」の1巻と2巻が合わさった真相完全版。全19話+1話が収録されている。あたしは決して強い女ではないのに、勢いで大学を辞めてしまった – 「脱兎さん」| 突如目の前に現れたカラスの姿をした死神は、私の死を望んでいる – 「坂の多い街」| 俺の未来は真っ暗だ。真っ暗闇だ – 「シロップ」

レビュー

短編集ではあるものの、物語の前後には人物同士のつながりがあり、登場人物たちが同じ時間、同じ世界の中で生きていることを感じさせる構成。それぞれが何かしらの思いを抱えながら、消えそうな日常を今日も生き続ける。ただそこに、虚無のごとき人生が広がっている。そんな現実を味わうことができる作品。

夏を知らない子供たち

夏を知らない子供たち
著者山本和音
巻数短編集
出版社KADOKAWA

あらすじ

山本和音先生の短編集。全11話で構成。2150年、地球の平均気温は52度。人類はスノードームでの生活を義務付けられた。-「夏を知らない子供たち」|元彼が私に会いたがっている。私のことまだ好きじゃん?-「まどか、田園へ行く」|ドラフト候補の高校球児・三浦くんに1通のメールが届く-「ナイトゲーム」

レビュー

この短編集は、それぞれの登場人物たちの人生の一瞬を切り取った感じを楽しむことができる。まさに短編集とはこのこと。個人的に好きな話は「ナイトゲーム」で、物語の展開から終わり方まで最高だった。すぐに読み返してしまったくらい好き。短編集全体を通して良い意味であっさりしているにも関わらず、読み終えたあとに何かが残る。よく分からないが夏に畳の上で読みたくなる作品。

竜のかわいい七つの子

著者九井諒子
巻数短編集
出版社KADOKAWA

あらすじ

九井諒子先生の短編集。全7話で構成されている。山の国と海の国が争っているところに突如竜が現れ停戦し・・・-「竜の小塔」/ 人魚に人権はあるのか?ある日弱っている人魚を見つけ・・・ -「人魚禁漁区」/ 中学受験を控えた私。落ちたら私はどうなるの?-「わたしのかみさま」

レビュー

7話全て切り口が面白く、テイストも異なっており、違う人が描いたのでは?と思えるほど1冊で色んな味を楽しめる。短編集の作品の中でお気に入りは「わたしのかみさま」

ベランダは難攻不落のラ・フランス

ベランダは難攻不落のラ・フランス
著者衿沢世衣子
巻数短編集
出版社イースト・プレス

あらすじ

衿沢世衣子先生の短編集。様々な雑誌などで掲載した漫画全8作品が収録。霊が出ると噂の廃墟にやってきた少年。どうやら夜中に光ったりするとか。そんな廃墟で1人の女性と出会い・・・ -「リトロリフレクター」/ オレのことちょっと切ない夏の思い出にしているんじゃねえよ -「浜万年男」/ 夏の暑い日。私の部屋のベランダには隣の家の子どもがいた-「ベランダ」

レビュー

登場人物それぞれに「私の小さな世界」が存在し、その内面が繊細に描写されています。夜のベランダに出て、そっと風を感じる。そんな静謐な時間の大切さを思い出させてくれる作品です。

光と窓

光と窓
著者カシワイ
巻数短編集
出版社リイド社

あらすじ

イラストレーターとしても活躍するカシワイ先生が、安房直子原作の「夕日の国」「小さいやさしい右手」、新美南吉原作の「ひとつの火」、宮沢賢治原作の「注文の多い料理店 序文」など全部で7作品を繊細なタッチで描いた作品集。

レビュー

無駄のない洗練された筆と、美しく計算された余白が際立つ。光と影のコントラストまでもが感じられるような表現が印象的。読み進めるうちに、ふと切なさや寂しさが胸をよぎる。そんな情感豊かな世界が、この本には広がっています。

なんてことないふつうの夜に

なんてことないふつうの夜に
著者嶽まいこ
巻数短編集
出版社祥伝社

あらすじ

夜を舞台にした、嶽まいこ先生の短編集。誰かの日常の少し不思議な物語。アンドロイドの恋人レンタルサービス。あれ?僕の彼女って – エレクトリック彼女 / 終点まで寝過ごしてしまった。そして出会ったのは夜景屋というお店だった – 手のひらに地上の星 / 眠い。3徹の漫画家は締切に焦っていたところ・・・ – わたしの睡魔 / など

レビュー

夜という特別な時間を舞台に、誰かの「いつもの不思議」な日常をそっと覗き見る。そんな短編集。眠れぬ夜にページをめくりながら「この瞬間にも誰かが不思議な体験をしているかもしれない」と想像してみるのも一興。全部で12作品収録。

ユー ガッタ ラブソング

ユー ガッタ ラブソング
著者鳥飼茜
巻数短編集
出版社講談社

あらすじ

鳥飼茜先生の短編集。全4話が収録。私は恵まれている。稼ぎの良い夫と小学生の息子がいる。でも、生きている実感を得られない – いきとうと? / 恋に憧れる女子高生の三上は、雪が降る日のバス停で友達の彼氏と出会う – 家出娘 / 子を身ごもった私は、不倫相手の男と久しぶりに会う。私が美しくなったのは、あなたのせいよ – 白鳥公園 など

レビュー

この作品に登場する人物たちはみんな「確かなもの」を渇望している。しかし、それを手にすることは叶わず、どこか曖昧で漠然とした憧れのようなものが物語全体に漂っている。独特の余韻と雰囲気に浸れる。

柴犬

著者森田まさのり
巻数短編集
出版社集英社

あらすじ

森田まさのり先生の短編集。全6作品が収録。客受けも良く飛ぶ鳥を落とす勢いの漫才師「柴犬」だったが、ある日突然相方が解散を求めてきて・・・ – 柴犬 / 勝手だよな大人って。小学生の裕太は、吉川先生が辞めることに納得できず。そしてある日、事件が起きる – ギャングエイジ / ボクシングのレフェリー・芦原には、後悔している試合があった – 砂漠 など

レビュー

それぞれの短編には人間味が溢れ、登場人物たちは何かしらの問題を抱えながらも、それを乗り越えようともがく姿が描かれる。短いながらも確かなドラマが詰まっており、森田まさのり作品の魅力を堪能できる。

うみべのストーブ 大白小蟹短編集

うみべのストーブ 大白小蟹短編集
著者大白小蟹
巻数短編集
出版社リイド社

あらすじ

トーチwebや著者のSNSに掲載された作品を集めた、大白小蟹先生による短編集。彼女の側に一生いたいと願ったスミオ。しかし彼女は去ってしまう – うみべのストーブ / 元旦の大雪の日、偶然出会った男をきっかけに雪女は未知の世界に触れる – 雪子の夏 / ある日、夫は交通事故に遭い、透明人間となってしまう – きみが透明になる前に など

レビュー

全7話を収録。いずれの作品も、心の奥底に沈む感情を毎回異なる角度から揺さぶってくる。言葉にしがたい「特別さ」をそっと手渡してくれる短編集。

アガペー

アガペー
著者真鍋昌平
巻数短編集
出版社小学館

あらすじ

『闇金ウシジマくん』で知られる真鍋昌平先生による短編集。
手が届きそうで決して届かない、それがアイドルという存在である。それでもドルヲタは、刹那の一瞬にすべてを捧げる – アガペー / 閉鎖的な地方都市に生きる若者の悶々とした虚無を描き出す – ショッピングモール / 3.11の震災後、被災地で変わりゆくものと変わらぬもの、そして・・・ – おなじ風景 など

レビュー

どうにもならない現実、それでもなおどうにかしたいと願う切実さ。物語の主人公にはなれなかった人々が、世界の片隅で「今」を必死にもがきながら生きる姿に、良い意味でため息を誘われる。

くしゃみ

くしゃみ
著者浦沢直樹
巻数短編集
出版社小学館

あらすじ

浦沢直樹による短編集。ヤクザの派閥争いによって先代を亡くしたバツイチの男の前に現れたのは、ソーシャルゲーム中毒の男と肥満体の男という異色のコンビ。彼らの登場をきっかけに物語は思わぬ方向へ転がっていく – DAMIYAN! / 東京に幾度となく怪獣が現れ都市を破壊し続ける。やがて怪獣に破壊されたこの街は世界の観光都市へと変わっていき・・・ – 怪獣王国 など

レビュー

どの作品も起承転結が明快で、短編ながら読み応えがあり、浦沢先生特有のユーモアが光る。また、音楽愛好家として知られる浦沢氏自身の音楽紀行も収録されており、音楽好きにもおすすめ。

ひかりのまち

ひかりのまち
著者浅野いにお
巻数短編集
出版社小学館

あらすじ

ヒカリグループの進出によって発展した新興住宅地「ひかりのまち」を舞台に、住民それぞれの視点で描かれる短編集。当たり前の幸せに価値を見出せず、それでも日々は続いていて、気づいたら大人になっていて – キラキラ星はどこへ行く / 不登校を決めて1年。僕は自死を選ぶ人々をコーディネートする見届け屋になった – バスストップ など

レビュー

外から見れば輝かしく映る街にも、そこに暮らす人々の心のかげりがある。新興住宅地という幸福の象徴の裏で、誰もが何かを抱えて生きている。そのギャップと、諦念にも似た日常の空気感が心地良い。

近所の最果て

著者澤江ポンプ
巻数短編集
出版社リイド社

あらすじ

澤江ポンプ先生の短編集。2年前に経験した絶望。33歳の会社員・伊達は、健康のために毎日スーパーで納豆を買う。そんな彼は、スーパーのレジに立つ女性店員・吉井経(よしいけ)の頭に葉っぱが咲いていることに気づく – はっぱの人 / 「大丈夫上手くいくさ ほらゲームみたいなもんだ」何もかもが嫌になって学校に行かなくなったぼくにパパは言った。でも、パパは亡くなってしまった – サイコンクエスト など

レビュー

読み切り作品やエッセイ、1ページ漫画などを収録した短編集。日常のひとコマに独特の空気感と、わずかな不思議さを添えることで、思わず「ふふっ」と微笑んでしまうような世界を描き出す。

辺境で

辺境で
著者伊図透
巻数短編集
出版社KADOKAWA

あらすじ

伊図透先生による短編集。
美大の卒業制作で、ひたすら鉄を叩き続ける甘粕(あまかす)。裕福な家庭の学生が多いなか、貧しい環境で学ぶ彼女は、ただ懸命に鉄と向き合う。鉄を叩くことで、自分を叩いているんだ – STEEL BLUE / ここに来る者は引き留める家族もいなければなんの才能も価値もない。だからこそ換えのきく頭数として重宝する。過酷な環境で列車のレールを打ち続ける労働者たちの姿を描く – 辺境で など

レビュー

どの作品にも漠然とした寂しさと壁を越えていこうとする力が共存している。そして物語の中では、登場人物たちが誰かとの関わりのなかで、自分という存在を見つめ直す。読後に何か特別なモノを感じ取れるそんな短編集。

人間ドラマ

ルックバック

ルックバック
著者藤本タツキ
巻数全1巻
出版社集英社

あらすじ

小学4年生の藤野は自分の絵に自信を持っており、学級新聞では4コマ漫画を任されていた。しかし、不登校の京本が描いた4コマが掲載されると、その圧倒的な画力の差を見せつけられる。藤野は必死に絵の勉強を始める。周りは誰も理解してくれない。そして2年後、藤野は挫折する・・・

ネタバレなしレビュー

見る人によって解釈が大きく分かれそうな作品。絵を描く喜びが、京本との出会いをきっかけに苦しみに変わり、やがて藤野は筆を折る。しかし、自分を苦しめたはずの京本だけが、最後まで藤野の才能を認めていた。そこから物語は静かに動き出す。藤野にとって、京本という存在は何だったのか。

泣いたって画になるね

泣いたって画になるね
著者畳ゆか
巻数全1巻
出版社小学館

あらすじ

「あたしは、コイツが嫌いだ」小学2年生のときに引っ越してきたリコ。私の幼なじみであり、高校生になった今も常に一緒にいる存在。でも私はモブで、リコはクラスのエンブレム、まさに頂点の存在。どうしてリコは、いつも私といるの?私になんて興味もないくせに。だから私は、リコから独立する。

レビュー

良くも悪くも常にスポットライトを浴びるリコ。モブであることに気づかず光に惹かれて集まってくる人々と、自らがモブであると自覚し、その光から距離を置こうとする主人公。自意識と満たされぬ欲求が交錯するなか、それでも結局、モブは光の側には敵わない。そのどうしようもなさがこの作品の魅力。

L.A.猫物語

L.A.猫物語
著者noho
巻数全1巻
出版社少年画報社

あらすじ

舞台は、1950年代のアメリカ・ロサンゼルス。この街を優雅に歩くのは、探偵事務所で飼われている一匹の白い猫。本作では、その猫を媒介として、この街に暮らす人々の「想い」が一話ごとに丁寧に描かれていく。今日もまたロサンゼルスのどこかで、何かを想う人々を猫は見つめているのかもしれません。

レビュー

猫を主軸に据えて描かれた本作は、街のさまざまな場所を気ままに巡る姿が印象的で、小旅行をしているかのような読書体験が味わえる。猫好きの方におすすめしたい。

虹ヶ原ホログラフ

虹ヶ原ホログラフ
著者浅野いにお
巻数全1巻
出版社太田出版

あらすじ

虹ヶ原という土地を舞台に、そこに生きる人々の過去と現在が交錯する群像劇。11年前、小学生たちは同級生の少女を井戸に突き落とした。それは「世界を救うため」だった・・・?無気力で、どうしようもない日々が淡々と続いていくなか、それぞれが暗闇の中でもがきながら、生を手探りで確かめていく。

レビュー

この物語には、正義も救いも存在しない。壊れかけた世界の中で、それでもなお生き続ける。不器用な人間たちのぶつかり合い。残酷な彼らの物語、そして私たちの物語。

カラオケ行こ!

カラオケ行こ!
著者和山やま
巻数全1巻
出版社KADOKAWA

あらすじ

あの日はなんだか蒸し暑く、息苦しかったのを覚えています。中学生で合唱部の部長を務める聡美は、合唱コンクールの客席にいたヤクザ・狂児から、突然カラオケに誘われる。どうやら組のカラオケ大会で披露するため、歌の腕を上げたいという。
一方、聡美自身も人には言えない悩みを抱えていた。交わるはずのなかった2人の、奇妙な関係が幕を開ける。

レビュー

カラオケという日常的な題材から、人間ドラマを描き出す力量に驚かされる。笑いと哀しみが絶妙なバランスで同居し、シュールでありながらも、どこか優しさに満ちている青春コメディ。

SF

アイリウム

アイリウム
著者小出もと貴
巻数短編集
出版社講談社

あらすじ

アイリウム・・・1錠飲めば24時間後へワープできる薬。服用すると普段通りの生活を行うことができるが、その間の記憶は自分に残らない。嫌なコト・辛いコトの前に服用すれば記憶に残ることなくやり過ごすことができ、24時間後に意識が戻る。そんなアイリウムが当たり前になった世界に生きる7人の物語。

ネタバレなしレビュー

アイリウムが普及したこの世界では「記憶の価値」とは?みたいな部分を考えさせられる。目の前にある出来事をある意味なかったことにすることができるアイリウムは、人々を物凄く単純な生物へと変えてしまう。しかし、7人の物語の中には、アイリウムが現実でも誕生すれば、実用化される可能性はあるのでは?と思わせられるようなリアリティある場面も。アイリウムは神の慈悲か?悪魔の策略か?読み終えたあとに、考えさせられてしまう。

山羊座の友人

山羊座の友人
著者乙一 / ミヨカワ将
巻数全1巻
出版社集英社

あらすじ

僕の家は高台にあり、2階部分だけ強い風が当たる。そんな2階にある僕の部屋のベランダには毎朝大量の落ち葉が。そして落ち葉にまぎれてゴミも。そんなゴミの中にあったのは新聞の切れ端。日付は来月。記事の内容は殺人事件。もし本当なら未来に起こる事件ということになる。そして今日、僕が通う高校で事件が起きた・・・

レビュー

1巻で完結とは思えないほどストーリーに厚みがある。SFの要素はありつつも、下手にSFに頼り切ることなく、しっかりと登場人物含めて物語がしっかりと描かれており読み応えがある作品。セリフの言い回しや間も含めて漫画として面白かった。

ピノ:PINO

著者村上たかし
巻数全1巻
出版社双葉社

あらすじ

AIに「心」は存在するのか。人間の知能を超えた量産型人型ロボット「ピノ」が普及する近未来。ある事件をきっかけに研究施設が爆破されるが、その直前、ピノが見せた行動はまるで「心」を持つ者のようだった。1年後、とある街に住むピノは一人暮らしの認知症のおばあさんと穏やかな生活を送っていた。しかし、ウイルス感染により10日後に機能停止が迫る中、ピノの中である変化が・・・

レビュー

心を持ってしまったロボットという古典的テーマではありつつも、人とロボットの境界線をしっかりと描き、切なくも温かな視点で包み込んだ作品。ピノを創造した人間、認知症のおばあさんが見ている世界、ピノ自身の世界、そして読者の世界。それぞれの「心の在り方」が問われる。1本の映画を見たかのような満足度。

我らコンタクティ

我らコンタクティ
著者森田るい
巻数全1巻
出版社講談社

あらすじ

「クソが……クソ野郎。会社、辞めちゃおっかな。」会社員のカナエは、偶然再会した小学校の同級生・中平かずきと出会う。彼は、寂れた工場でひとり、ロケットエンジンを製作していた。目的は宇宙で映画を上映するため。荒唐無稽な夢に呆れるカナエだったが、次第に彼の真摯な情熱に惹かれていき、2人はロケット開発に挑むことに・・・。

レビュー

合理性が重んじられるこの時代。そんな現代に、ただただロマンのために命を燃やす2人の姿は、まるで異星の光のようにまぶしい。そこに意味などなくてもいい。ただ夢中になれるものがある。痛快で熱量のある物語。

自伝・エッセイ

零落

零落
著者浅野いにお
巻数全1巻
出版社小学館

あらすじ

作品に人生のすべてを捧げてきた漫画家・深澤。しかし、連載の終了を機に立ち止まってみると、そこには何もなかった。手元に残されたのは、漫画で稼いだお金と衰えた肉体のみ。「漫画家とは何か。漫画とは何か。」生きる指針を失い、虚無だけが広がる人生を前に、深澤はもがき続ける。

ネタバレなしレビュー

本作には、浅野いにお氏の自伝的要素が濃密に反映されている。無闇に飾り立てることなく、葛藤や苦悩、さらには稚拙さまでも赤裸々に描き出した一作だ。創作にすべてを捧げることの崇高さ、身を削り堕落していく過程に潜む美しさ、人間としての欠落が露呈していくことの羞恥。それらが容赦なく読者に突きつける。

HaHa

HaHa
著者押切蓮介
巻数短編集
出版社講談社

あらすじ

親の半生を知っているだろうか。自らをこの世に生み出した人間の軌跡を。本作は、漫画家・押切蓮介氏の母の半生を描いた作品である。どのように育ち、どのような青春時代を歩んできたのか。当時の母、今の母、そして現在の自分。それらが重なり合い、繋がり、ひとつの物語として紡がれていく。

レビュー

母親が自身の思い出を語る形式で描かれており、各エピソードは単なる面白さにとどまらず、それぞれに確かな人生の重みを感じさせる。また、物語の随所に添えられる「言葉」、そして受け継がれてきた母の「言葉」が、深く胸に刺さる。読み終えたとき、自然と前を向きたくなる1冊。

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