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このページでは、当サイト「YOMUDAKE(ヨムダケ)」がおすすめする純文学作品を紹介しています。作品によって異なる角度から繰り広げられる結論のない物語と想い。ぜひお楽しみください。
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社会・生き方

| 著者 | 上田岳弘 | 
|---|---|
| 出版社 | 講談社 | 
あらすじ
会社で仮想通貨のマイニングを任された中本。過去のある選択に苦しむ田久保。そして中本の先輩であり、小説を書く「ニムロッド」。あらゆるものがデジタル化され、単一化していく社会の中で、人はどのように生きるべきなのか。
無から生まれ、それに価値を見出すもの。人間を仮想通貨に重ね合わせることで浮かび上がる、存在理由と証。そして、どこかに漂う漠然とした虚無。合理的で単一化された社会のなか、人々は正解に適合しながら生きていく。では、生き方や選択に意味はあるのか。正しさを吐き出すテクノロジーの時代における、人間らしさとは。

| 著者 | 砂川文次 | 
|---|---|
| 出版社 | 講談社 | 
あらすじ
ペダルを踏み込む。車輪は回り、都内のオフィス街を自転車が颯爽と駆け抜けていく。メッセンジャーとして書類を依頼先へ届けるサクマ。かつては自衛官として勤務し、その後いくつもの職を転々とし、今はこの仕事に就いている。現状に大きな不満はない。それでも、日々は淡々と流れていく。どこか噛み合わない感覚。言葉にできない苛立ちが、心の奥でくすぶり続けている。
サクマが抱える、決して譲れない「何か」。その内側で燃え続けるものは、夜に灯りをともす人々の見えない営みと重なり合い、姿は見えずとも確かに存在する違和感として積もっていく。もがき続けることの美学と諦め。そしてそれらへの反骨心。自転車の部品のように噛み合えば前に進めるはずなのに、どこかに生じたわずかな歪みがそれを許さない。終わりのない日常の不穏さを確かに噛み締めさせる。

| 著者 | 村田沙耶香 | 
|---|---|
| 出版社 | 文藝春秋 | 
あらすじ
「普通の生き方」に馴染めない36歳の古倉恵子。彼女にとって、マニュアルどおりに動くことで社会の一部になれるコンビニは、唯一自分らしく生きられる場所だった。しかし結婚や就職といった「正しさ」を求める周囲の声に揺れ始める。誰のために生きるのか。「普通」とは何かを問いかける。
コンビニの中では「正しい姿」で存在できる主人公。社会からズレたようで、どこか鋭く、まっすぐな彼女に、気付けば心がざわつく。生きづらさと、どこかの誰かの「普通」に押しつぶされそうな人に読んでほしい。

| 著者 | 宇佐見りん | 
|---|---|
| 出版社 | 河出文庫 | 
あらすじ
何もかもが上手くいかない。高校生のあかりは、不器用に日々を生きていた。そんな彼女が心の拠り所としていたのは、アイドル・上野真幸の存在。彼を「推し」として、生活のすべてを捧げていた。ところがある日、真幸が暴力事件を起こし、炎上する。そこからあかりの世界は揺らぎ始め・・・
彼女にとって「推し」は、生きるための北極星のような存在。しかし、事件をきっかけに変化していく推し。置き去りにされるあかり。それでも続く日々。彼女にとっての「推し」とは何だったのか。残されたものは何なのか。考えずにはいられない。

| 著者 | 又吉直樹 | 
|---|---|
| 出版社 | 文藝春秋 | 
あらすじ
売れない若手芸人・徳永は、花火大会の営業で先輩芸人・神谷と出会う。破天荒でありながら、自分にはない何かを確かに持つ神谷に惹かれた徳永は、弟子入りを申し込む。やがて、師弟にも似た関係のなかで「お笑いとは何か」という価値観をぶつけ合い、時に宥め合いながら、売れる日を夢見て過ごす。しかし、いつしか二人の間には微かなすれ違いが生まれ、やがて大きな隔たりとなっていく。
芸人という職業を通じて描かれるのは、創作に伴う苦悩、孤独、痛み、そして諦め。そして、自分にはない指針を持つ人物への憧れと同時に抱く軽蔑。その相反する感情が交錯する中でも輝き続ける人間的な魅力に胸を焦がす。

| 著者 | 高瀬隼子 | 
|---|---|
| 出版社 | 講談社 | 
あらすじ
職場で要領よく馴染む二谷。常に周りから配慮され続ける芦川。仕事に真面目に取り組む押尾。3人の登場人物を中心に繰り広げられる人間模様は「食」を通して描かれる。みんなで食べるとおいしいのか?おいしいものは、みんな嬉しいのだろうか?
人が求める「正しさ」に疑問を抱きながらも要領よくやり過ごす男。その疑問は手間と工程をかけた料理よりもカップ麺を好む姿に象徴される。飲み込む者・飲み込めない者・飲み込ませたい者。職場の人間関係はやがて食の在り方と重なっていく。結末にも納得。

| 著者 | 金子薫 | 
|---|---|
| 出版社 | 河出書房新社 | 
あらすじ
舞台は、楽園と謳われた島の架空の街。新たに着任した町長の下「鳥打ち」という職に就いた3人の青年たちは、美しい花畑と希少な蝶を守るため、日々鳥を殺めていた。だがある日、1人の青年はその職務と、この町の在り方そのものに疑念を抱き始める・・・
「正しい」とされるものに無条件で従うことの意味、そしてそこに宿るある種の尊さ。一方で、自らの生き方や仕事に価値と存在理由を見出そうとする行為は、果たしてロマンなのか、それとも無謀なのか。

| 著者 | 小野寺史宜 | 
|---|---|
| 出版社 | ポプラ社 | 
あらすじ
会社を2度辞め、現在はコンビニでアルバイトをしている27歳の井川幹太。大学時代から変わらず住み続けているワンルームのアパートには、余計なものは何一つない。自分ひとりで生きていくには、それで十分だった。大学時代の友人たちが次々と去り、静かだった日常。しかしある日から、真上の部屋に越してきた「がさつくん」の物音に悩まされるようになる。ところが、その騒がしい隣人との出会いをきっかけに、幹太の人生は少しずつ動き出していく。
誰にも頼らずシンプルに生きることこそ自分に合っていると思っていた幹太。だが、ひょんなことからアパートの住人たちと関わりを持ち、彼らの人生に触れていく中で、自身の価値観や生き方が変わっていく。大きな事件も派手な展開もない。けれども、読み終えたあとに心に響く何かが残る。
内面・心

| 著者 | 綿矢りさ | 
|---|---|
| 出版社 | 河出書房新社 | 
あらすじ
さびしさは鳴る。高校1年生のハツは、クラスで孤立していた。唯一の友人は別のグループに馴染み、無理に他の子と関わろうとしないハツは孤立を深めていく。そんなある日、同じく浮いた存在の「にな川」と言葉を交わす。不器用で、どこか歪な2人の関係が描かれる。
孤立し、外敵から身を守るために研ぎ澄まされていく自意識と感覚。一方、同じような立場のはずの「にな川」は、モデルに夢中で、自意識の欠如すら感じられる。そんな彼に、主人公が抱くのは愛おしさと嫌悪感。言葉にしきれない、繊細で複雑な感情に浸れる1冊。

| 著者 | 今村夏子 | 
|---|---|
| 出版社 | 朝日新聞出版 | 
あらすじ
近所に住む奇妙な女を観察するわたし。この物語はそんな女に対して異常な執着心を持った「わたし」目線の一人称で描かれる。常に監視し続け、哀れみ女に近づこうとするわたし。友だちになりたい。そんな一心で、わたしはその女に手を差し伸べる・・・
自身の異常性には気づかない「わたし」を読者は奇妙に感じるはず。しかし、誰もが「わたし」になる可能性を秘めているのかもしれない・・・
家族・人間関係

| 著者 | 今村夏子 | 
|---|---|
| 出版社 | 朝日新聞出版 | 
あらすじ
標準体重を下回って生まれ、出生直後から病弱だった娘を救いたい一心で、両親は新興宗教に傾倒していく。やがて「わたし」は小学五年生となるが、両親は相変わらず謎の水を口にして日々を過ごしていた。それでも両親は常に優しく、わたし自身も信仰に疑念を抱くことはなかった。しかし、その信仰心は次第に家族のあり方を変貌させていく…
「宗教二世」や「家族」という主題を扱いながら、作中には突如として「世界」が変容する描写が繰り返し現れる。ある瞬間、何気ない日常が一変し、読者自身も同じ感覚を追体験させられる。普通だと信じていたものが、ふいに客観的な視点から異様さを帯びて浮かび上がっていく。

| 著者 | 吉本ばなな | 
|---|---|
| 出版社 | 幻冬舎 | 
あらすじ
私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。両親を早くに亡くし祖母と同居していた大学生の桜井みかげ。しかし、祖母も亡くしてしまう。孤独な思考の私を守ったのは、冷蔵庫から聞こえてくる、ぶーんという音だった。1人では広すぎる部屋に取り残された彼女は、祖母の馴染みの花屋で働く田辺雄一との縁をきっかけに、田辺家に居候することになる。
大切な人を失った絶望感、それでも淡々と続く止められない日々。虚無の中にあってなお、人の優しさや、ささやかな温もりが存在する。再生と成長の光がやわらかく読者の心に差し込む。

| 著者 | 鹿島田真希 | 
|---|---|
| 出版社 | 河出書房新社 | 
あらすじ
奈津子は、かつて裕福な家庭に生まれた。しかし、祖父と父の死、そして弟の借金によって家は没落する。裕福な過去から抜け出せない母と弟は、いまや奈津子の稼ぎを当然のように奪い取る存在となっていた。そんな家族から逃れるように、奈津子は夫・太一とともに、かつて母が誇った高級リゾートホテルへと向かう。その旅の中で、奈津子は失われた時間と記憶に向き合っていく。
本書には「冥土めぐり」と「99の接吻」の二作が収録されている。いずれも「家族」という逃れがたい関係を軸に描かれた作品であり、そこには愛と憎悪、依存と断絶が複雑に絡み合う。
その痛みは決して一面的ではなく、光と影を併せ持つものとして描かれる。

| 著者 | 羽田圭介 | 
|---|---|
| 出版社 | 文藝春秋 | 
あらすじ
87歳の祖父と暮らす健斗。失業中の彼は、祖父の介護をしながら日々を過ごしている。「早う死にたか」とこぼし続ける祖父に対し、健斗は尊厳死を実現させようと計画を立てる。しかし、その計画を実行に移そうとする過程で、健斗は否応なく自分自身と向き合い始めることになる。
計画を機に肉体を鍛え上げ、弱りゆく祖父と対比して自身の強さを実感し、再び前を向こうとする。筋繊維の破壊と再生は彼の人生と重なり、介護や社会の閉塞感の中で、もがき続ける。

| 著者 | 磯﨑憲一郎 | 
|---|---|
| 出版社 | 新潮社 | 
あらすじ
30代で結婚。ささやかながら穏やかな日常を過ごしていた2人の生活は、ある日を境に歪み始める。妻は理由も語らぬまま、夫と口をきかなくなる。それでも生活は続き、歳月は過ぎる。対話のない時間のなかで見えてくるものは・・・
事件が起きるわけでも、大きなドラマがあるわけでもない。ただ一緒に暮らすことの意味、すれ違い、そして老いていくこと。そんな当たり前の時間が積み重なるなかに、徐々に追い詰められていく恐怖と孤独がある。
短編集

| 著者 | 綿矢りさ | 
|---|---|
| 出版社 | 河出書房新社 | 
あらすじ
全4作品が収録された短編集。私のキラキラをみんなにお裾分け – 眼帯のミニーマウス / バイト先でYouTuberを発見。私が彼を正さなければ – 神田タ / 妻の友達の家へ。そこで行われたのは不倫裁判だった – 嫌いなら呼ぶなよ / ライターと作家が喧嘩。板挟みの編集者は何を想う – 老は害で若も輩
それぞれの作品に登場する主人公たちは、皆それぞれに闇を抱えているものの、その内面は明るくポップな筆致で描かれる。一方で、彼らを取り巻く人々もまた、異なる方向にゆがみを抱えており、それぞれが異なる濃度のグラデーションのように「何か」を抱えている。その在り方には、善悪や正誤といった単純な判断を超えた面白さがある。

| 著者 | 森絵都 | 
|---|---|
| 出版社 | 文藝春秋 | 
あらすじ
全11作品が収録された短編集。西日が差し込むグラウンドで、野球少年を見守る母親たちは何を想う – 架空の球を追う / 桜の木の前でデジカメを構えると・・・ – チェリーブロッサム / カブトムシだって自由に生きたいでしょ?私はカブトムシを購入して森へ逃がす – 夏の森。など。
何かを掴みかけては、すり抜けてしまいそうな・・・。そんな日常の一瞬をすくい取った作品を楽しめる。どこにでもある風景の中で、誰かの心がふっと揺れる。その小さな揺らぎに、静かに心を掴まれる。
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純文学の定義は人によって異なるものですが、当サイト「YOMUDAKE(ヨムダケ)」では、以下のような基準で紹介しています。日々続いていく何気ない日常を描きながらも、人間の思考・思想・葛藤といった内面に深く迫っていること。
そして、作品そのものに明確な結論があるのではなく、読者が自由に意味を受け取り、解釈できる余白があること。
そうした要素を備えた作品を、純文学と捉えています。
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